私の手を掴んで自分の口から引き離し、そのままなぜか彼の手は、トレーナーの裾から悪戯に入ってくる。
「誰が聞いてくるんだ?」
「わかんないけど、…聞かれたら…付き合ってるって、私は言うよ」
肌をなぞる手のひらがくすぐったくて、身動ぎながら答えたが、ちゃんと聞き取れてたらしく、朝陽は嬉しそうに頬を緩めている。
「ゴチャゴチャと余計なことで悩んでたくせに、強くなったな」
「うん、自分でもそう思う。でもね、それは朝陽が彼氏だから、信じられるし、一緒にいて大好きって気持ちがどんどん大きくなるの。だから、あれこれ言われないぐらい、朝陽に相応しい彼女になろうって思わせてくれたのは朝陽だよ」
「…愛しいって思う気持ちは、こーゆーことを言うんだな…惚れ直した」
真顔で言う唇とは正反対の朝陽の手は、わざと私の感じるポイントをなぞってくる。
「ちょっと、手…」
「んっ?」
「惚けてないで…、やっ、信じられない」
片手でブラのホックを外して、意地悪く笑っている。
「お仕置き足りなかったんだろ?」
「そんなこと言ってない」
「そうだったか?まぁ、惚れ直させるぐらい俺を煽ったんだから仕方ないよな…」


![(続編)ありきたりな恋の話ですが、忘れられない恋です[出産・育児編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1631187-thumb.jpg?t=20210301223334)
