「…公表なんてしたら、朝陽のファンが黙ってないよ」

彼氏のファンにあれこれ悪意を向けられたら、さすがにキツイ。

「ハン、そんな奴ら、黙らせるから心配するな」

「気持ちは嬉しいけど、それじゃ、私を彼女として認めれないと思うの」

「じゃあ、どうするんだよ。俺の莉子なのに、守れないのか?」

こう言う事を恥ずかしくもなく言ってくれる彼。

前の彼と比べてる訳じゃないけど、朝陽なら裏切ったりしないと態度や言葉で示してくれるから、嬉しくて、頑張って立ち向かえる勇気が湧いてくる。

「あのね、やっぱり公表してもいいよ」

「…いいのか?」

朝陽は、嬉しそうに頬擦りしてきて、私の手を洗い流して水を止めた。

そして、クルッと反転させられ、チュッチュッと唇にキスが降る。

「も、もう、まって…」

キスが止まず、言いたいことを言わせてくれないので、彼の唇を手のひらで塞いだ。

『なんだよ』と手のひらで彼の声がこもっている。

「不特定多数に自分から言うんじゃなくて、聞かれたら答えるって感じでお願いします」

あー、眉間にシワだ。

怒るとシワを寄せるくせ、気がついてないよね…なんて思う辺り、ちっとも怖いと思っていない。