『ごちそうさまでした!!』
私は両手の手のひらを合わせて言った。
『食後のデザート位なら有りますが、お食べに成りますか?』
と、彼が首を傾げた。
『本当に色々ありがとうございます!
食べます!』
思わず目を輝かせながら私は頷く。
本当に狡くて怖い人狼なんかじゃなくて、こんなに優しい人で良かったぁ…
何て事を考えながら暖かい気持ちに浸って居ると…
『プリンかケーキ。
どちらが良いですか?』
と、彼が私に問いかけてくると私は
『えぇ!?
プリン有るんですか!?
大好物なんです!』
と、テンションがあからさまに上がってしまった。
『それは良かった。
じゃあ、プリンですね?』
と、彼が私に笑顔で問うと私は
『はい!お願いします!』
と、更にテンションが上がった状態で答える。
『分かりました』
そう言うと彼は冷蔵庫へとプリンを取りに行った。
そこで、ふと、疑問が浮上した。
『あの…一つお伺いしても宜しいでしょうか?』
『はい?なんでしょうか?』
と、プリンを取りつつ先程と同じ笑顔で彼は言った。
『こんな山奥に電気って通ってるんですか?』
それは、単純かつ素朴な疑問だった。
なぜ、冷蔵庫がこの山奥で使えるのか?と、言うことだ。
『あぁ…冷蔵庫の事ですか?』
と、彼が言うと私は頷く。
すると彼は話を続けて
『この家の電気は全て自家発電です。
この家の場合は太陽光発電ってやつです』
と、言った。
『あぁ!そう言う事ですか!』
私は納得してそう返した。
『そんな事までして何で山奥に?って、思うと思うんですけど、何だか落ち着くから良いんですよね…森とか山って』
『何だか落ち着くのは分かる気がします!
おばあちゃんの家の庭も落ち着きますから!』
と、私は懐かしく感じ、思い出しつつも言った。
『おばあさんは何処に住んでいるのですか?』
『この山です!』
『と言うことはもしかして今日はおばあさんの家に向かおうと…?』
『そうなんですけど昨日の雨のせいでぐちゃぐちゃだった地面で転んでしまって…』
『それは災難でしたね…』
『でも、貴方のような優しい方に拾われて良かったです!
人狼だったらとっくに死んでましたね…
この山は人狼で有名なのによく、あんなに血を流しても会わなかったと思いますよ…
不幸中の幸いってやつですかね!』
と、笑ってみる。
すると、急に彼が青ざめた顔をした。
『あれ、顔色が悪いですよ?
大丈夫ですか?』
それが不安になり私は彼の顔を覗き込んだ。
『あ!いや、大丈夫です!
あっ!明日、何時ごろにお帰りに成りますか?』
と、慌てたように彼は返してきた。
『あ、そうか…もう、夜だから…
すみません…色々していただいて、更に、泊まらせていただくなんて…』
『別に気にしないで下さい』