『…』
すると、何かを俺は感じた。
まるで、今、俺の隣に居る彼女に会った時のような香り。
あの時よりは薄いが、この臭いは…


紛れもなく血液の臭いだった。


しかも、彼女が案内する方向から臭いがする。
(そんな、悲しい事なんて…有るのか?…)
この臭いの薄さ的に、もしかしたら補食中かも知れない。
それを彼女が見てしまったら…
俺は、胸騒ぎがする気持ちを押さえ付けて、彼女の話に、何とか耳を傾けるのだった…