『では、そろそろ行きますか』
そう、彼が言ったのは、9時頃だった。
『はい!宜しくお願いします!』
と、私は彼に言う。
彼は、山に住んでいるのが長いのか、わりと軽装でドアへと向かう。
私も一緒に着いていく。
『キィー…バタンっ…ガチャっ…』
彼はドアを閉めて鍵をかける。
『では、行きましょうか』
と、彼は私に手を差し出す。
『離れないようにです。
昼間などでも、危ないので』
と、薦めてくる彼の手に、私は自分の手を重ねる。
(男の人と手を繋ぐ何て、いつぶりだろう…?)
何て、ぼーっと思いながら、私は彼と、他愛もない話をしながら、獣道を進む。