世界で一番、不器用な君へ



しばらくして、嗚咽が止まる。


「おい、落ち着いたかバカ女」


「…ん」


俺の首から離れて、一花は涙を拭きながらベッドの横の椅子に座る。


「…笑ったり泣いたり忙しいな、お前」


「え?」


「別に、なんでもない」


なんかこいつが笑ってる夢を見たような…いや?俺を小馬鹿にして笑ってる夢か?ありえる。


「どう、起きれそう?」


「あ、はい。寝たらスッキリしました」


先生の声に、俺はゆっくりと起き上がる。


時計を見る。1時間くらい寝てたか。


「まあ疲労と、寝不足かしらね。熱中症とかではないみたいだから。」


先生はそういうと、ニヤつきながら「この子、ずっとあなたが死んだらどうしようって泣いてたのよ」と耳打ちしてきた。


「…勝手に殺すな」


「だってえ…」


「ふふ、じゃ、私ちょっと職員室行ってくるから」


先生はそう言って保健室を後にした。