世界で一番、不器用な君へ



***


頭がグラグラする。いけると、思ったんだけどな。


「っ…なにやってんだよ、一花、さっさとキャプテンのとこに行け」


俺はかがんで2人を結んでいた紐をほどく。


「でも…」


戸惑いの色を浮かべるその目に、俺はイラつく。


そんな風に、心配なんてするな。…頼むから。


いつもみたいに、憎まれ口でも叩いてさっさと行ってくれ。


暑くて汗が止まらないのに、馬鹿みたいに寒い。


生徒の声が、頭に響く。足が、動かない。


「…蓮?」


一花の声が、遠い。


体から力が抜けて、その場に倒れた。


「蓮!蓮!」


うるせえな、さっさと行けよ。


意識を手放す前、手を伸ばして、目の隙間に映る赤を、掴んだ。