世界で一番、不器用な君へ



「よーい!」


ピストルの音が、グラウンド中に響き渡り、直後に歓声がわっと上がった。


私は我にかえる。


競技が…!


慌てて蓮の方を見ると、してやったりという顔で舌を出している。


…こいつっ


「ハメたわね!?」


「誰がお前なんかにキスすると思う?」


「私は真剣にアンタのこと…」


「ばーか、お前は競技のことだけ考えろって言っただろ?」


「でも…」


生徒の歓声はどんどん大きくなる。


3位だった私たち実行委員が2位に追い上げる。


私たちの番が、あっという間にくる。