世界で一番、不器用な君へ



私には絶対にしない女子ウケ笑顔を顔に貼り付けてるのはいつものことだけど、でも、なんか…


「蓮」


気づいたら女子の群れに割って入って、体操服を引っ張っていた。


蓮はちょっと驚いてたけど、そのまま女子達に手を振って私についてきてくれた。


「わり、助かったわ」


「…体調悪いでしょ」


私は立ち止まって、蓮と向き合う。


「…なにが?」


「誤魔化さないで」


やっぱり、変だ。


「救護室、行こう?競技は、先輩に言えばなんとかしてくれる。代理立てて私がその人とやればいいし…」


「俺はなんともないから。早く行くぞ」


蓮は私の腕を掴んで、指定された場所に向かって歩き始めた。


「ちょっと!ダメだよ!」


「うるさい」


私の腕を掴む、大きい手。こんなに気温が高いのに、驚くほど冷たい。


必死に抵抗しようとしても、ビクともしなくて焦りはじめる。


蓮、こんなに力強かった?