世界で一番、不器用な君へ



そんな願いも虚しく、あっという間に二人三脚の時間になった。


お昼前の最後の競技ということもあり、参加選手以外は全員ワイワイ賑わって観戦している。


「一花ファイト!こっから大きい声で叫んであげるから!!」


「お願いだからやめて!」


頑張れよ雨宮ー!転んだら笑ってやるからな!


クラスの男子からの冷やかしの声を背中に受けながら、私は蓮を探す。


「あれ、蓮は…」


「蓮ならあそこ」


浩平の指の先を見て、納得する。


他のクラスの女子に取り囲まれ、その後ろにはバッチリ一年生のファン達がいる。


あーあ、あんなに女子達をはべらせて。


さぞかしニヤついてるんでしょうね。


ふと蓮の顔を見て、私は違和感を覚える。


…なんか蓮、顔色が良くない。