世界で一番、不器用な君へ



「おはよ!」


「どうよ、緊張の方は」


「う…言わないで。とにかく私は無心で走る」


「あはは、一花だけよ、暗い顔してんの。女子はみーんなジンクスで浮き足立ってるから」


確かに。女子はいつも以上に気合が入ってる。


「一花は渡さないの?蓮に」


「なっ!?渡さないよ!なんで蓮なんかに…」


「あれー?あんた達いい感じだと思ったんだけどなあ」


「やめてよ!そんなこと全然ないから!」


蓮は女子達の視線に気づいてないのか、はたまた気づいて無視してるのか、浩平と楽しそうに話している。


「ま、楽しみにしてるよ、美男美女コンビ」


「やめてよ…」


ああ、永遠に競技が来なければいいのに…