世界で一番、不器用な君へ



準備を終え、大和先輩が委員を集合させる。


「みんな、今日までお疲れ様。といっても仕事はこれからが本番だから、とにかく安全に体育祭を行えるように各自気を配るように。あと、今日は気温が高くなることも予想されるから、みんなもこまめに水分とって、熱中症には気をつけて」


じゃあ、解散。


先輩の声で実行委員たちは解散する。


「一花、教室もどろーぜ」


「あ、うん」


チラリと先輩を見ると、なにやら副委員長や先生と話し込んでいてとても話しかけられそうにはない。


「ねえ、蓮、知ってる?」


「なに」


「ジンクスがあってね、体育祭でハチマキを交換するとその2人はうまくいくっていう…」


「ベタだな」


「蓮もいろんな女子に交換してくださいって言われるんじゃない?」


「するか、誰のか分かんねえハチマキなんてつけたくない」


「うわ、サイテー。ファンが聞いたら泣くわよ」


先輩と交換できたらな、なんてほんの少しだけ期待してしまう。


…まあそれどころじゃないんだけど、二人三脚で。


教室のドアを開けると、楓が手を振って「おはよー」と声をかけてきた。