世界で一番、不器用な君へ



黙った私に蓮はガクッと肩を落とす。


「なんだよ、ノープラン?」


「それ以前の問題!」


私は走ってコンビニに入る。


いつもの二本をとって、レジでお会計をする。


だって、まだ怖いよ。


先輩は多分、優しいから。


きっとすごく困らせる。私を傷つけたんじゃないかって、多分先輩自身が傷ついてしまう。


「あー、うめえな」


「でしょ?」


「なんでお前が得意げなんだよ。あと、お前は考えすぎだと俺は思う」


シャク、と一口アイスをかじると、口の中で冷たさと甘さが広がって熱で一気に溶ける。


「…知らないから。蓮は、先輩がどれだけユカさんのこと好きだったか」


中学時代、ずっと相談に乗ってたからわかる。


ユカさんは先輩にとって本当に大事な人で、だから先輩のこと大好きだったけど、それ以上はもう望まないって決めた。


でも、あの2人は別れて。先輩は、本当に本当に辛そうで。少しでもそばにいたいって、そう思った。


「…でもそのユカって人とより戻したかも分かんないんだろ?」


「…分かんないけど、でもそんな簡単に先輩が諦められるとは思えない」


「またうじうじし始めた」


「だって、しょーがないじゃん」


「お前、約束したよな?諦めないって。二人三脚のことを申し訳ないとか思う暇があったら、勇気出して先輩に告白しろ」


下手なりに、慰めてくれようとしてんのかな、これは。