世界で一番、不器用な君へ



「ん?」


「最近顔色悪いよ」


「…そうか?」


「やっぱり、二人三脚のせいだよね。そのせいで部活あんま出れないから、朝練も毎日してるし、部活の朝練があるときだってまだ誰も来てないうちから1人でやってるから…」


「別に、お前のせいじゃない」


蓮は少し苦笑して、「なにしおらしくなってんだよ、気持ちわりい」っていつもみたいに軽口を叩く。


「だって」


「二人三脚が大変なことくらいわかってた。わかってて、自分からやるって言ったんだから」


「でもそれは…」


「別に体調も悪くない。お前の勘違いだよ」


有無を言わさぬ口調でそう言われ、なにも言えなくなる。


「それより、明後日だぞ、体育祭。お前はとりあえず本番で失敗しないようにそのことだけ考えとけ」


「あっあんまり言わないでよ緊張する!」


二人三脚は全委員会参加の割と花形競技だ。


しかも女子に大人気の蓮と走るんだから、絶対に注目されるに決まってる。


本番は絶対女子の目を見ないようにって決めたんだ、怖いから。


「この前キャプテンに特訓してもらったから、まあ大丈夫だと思うけど」