「へえ、じゃあ俺と変わんない?」
「は?」
突然耳に入ってきた声。
聞き慣れた、憎たらしい声。
「だから、俺と変わってくんない?って言ってんの」
「っ…蓮」
平然とした、でもどこが怖い顔で。
「はあ?お前まず部門が違うだろ、突然なんだよ」
「俺、運良くじゃんけん勝って救護部門なれちゃったんだよね。だから、君と代わってあげるよ。ラッキーだったな?」
「なっ…別に俺は…」
「…それともまさか、振られたヤツとペアになっちゃってメンツが立たないからちょっと上手に出てみたけど内心まだ好きな美人と組めてラッキーとか思ってたりしないよな?」
一気に相手の顔が真っ赤になる。
「てめえっ…ふざけんな…!」
「ま、お前と一花じゃ釣り合わないから。大人しく代わっておけば?」
「蓮、その辺にしとけ」
芯のある声とともに、蓮の肩を掴んだのは大和先輩だった。
「…サーセン」
「一花のペアはお前が組め。…君も、少しは周りを見て、人の気持ちを考えろ。2年だろ」
先輩の一言で、その場は収まり、みんな部門決めに戻っていった。


