世界で一番、不器用な君へ



「ほら、教室入って」


「へーい」


「はっはい」


ぼちぼち人も集まってきて、それぞれが黒板に書かれた図に従って自分のクラスの位置に座っていく。


「…お前さ、顔赤くなりすぎ」


「うるさいっ…」


私は急いで自分の顔を手で仰ぐ。


あ〜静まって!私の熱!


「はい、じゃあ第一回実行委員会議を始めます」


先輩の言葉に、よろしくお願いします、と教室中から声が上がる。


「まずは体育祭実行委員になってくれてありがとう。仕事も多くて大変だと思うけど、これから体育祭まで、力を合わせて一緒に頑張っていきましょう」


どんな場でも緊張せずにすらすらと話せる先輩は、やっぱりかっこいいし、さすがだ。


「えっと、初めに自己紹介しておくか。実行委員長の大和です。よろしくお願いします」


パチパチと拍手の音とともに、「かっこいいね」という声が後ろの方から聞こえてきた。


…一年生だ。


そりゃそうだよね、こんなにかっこいい三年生の先輩がいたら、誰だって好きになる。


わかってたけど、先輩のことが好きな人は、私だけじゃない。