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どんどん人通りが多くなってきた。
さっきまでいた蓮がいなくなってから、心細くて、緊張で心臓がはちきれそう。
早く、来て欲しいような。
でも、来て欲しくないような。
自分でもわからない感情に支配される。
「一花」
優しくて、落ち着いた声。
「大和先輩っ!」
「ごめん、待たせたな」
先輩は紺の浴衣を着て、笑顔で手を振った。
どうしよう、かっこよすぎるよ…
「いえ、今来たところです!」
顔、赤くなってないかな?変じゃないかな?
「…一花、いつもと違う」
「えっ、変、ですか!?」
照れ臭そうに、先輩が笑う。
「ううん、すごいキレイ。いつもも、かわいいけど」
胸が、きゅんと鳴る。
よかった。オシャレして、よかった。
「先輩も、いつもかっこいいですけど今日は100倍かっこいいです!」
「ありがと」
ポンポン、と大きな手に頭を撫でられて、更に体温が上がる。
「じゃ、いこっか」
「はい!」


