それでも君を

「ここに刺すからね。確認しなくて平気か?うん、ここね。怖くないから大丈夫だよ。呼吸しっかり整えて」 



颯くんの声に反応して、パニックにならないようチラッと腕を確認する。



ここ最近の採血時のルーティンだ。



「今日は深く呼吸するの難しそうだな。あ〜咳でるもんな。うん、いいよ。大丈夫。はい、刺すよ〜」



チクッと腕に鈍い痛みが走る。



颯くんの姿をしっかり見て、パニックにならないように気持ちをコントロールする。



「もう一本取ったら終わるからな〜。このまま頑張ろう」



颯くんもこちらにアイコンタクトをくれながら、処置を進めてくれる。



細かく説明してくれるお陰で、気持ちが落ち着くし、目が合うとなぜだかホッとするのだ。