それでも君を

手に何かを持ったまま、颯くんだけがこちらへと戻ってくる。



「梨央これに着替えな」



はい、と渡されたスクラブを素直に受け取る。



「ありがとう」



私に渡し終えると颯くんは再び扉へと向かう。



真ちゃんを招き入れるのかと思ったが、何故か2人とも診察室から出ていってしまった。



不思議に思いながらも、その隙にと私は着替えることに。



スクラブに着替え終わり、身なりを整えると、2人が消えて行った扉をただぼーっと眺める。



なんだかすごく無気力だ。



けれど…仕事がまだ残っていることを思い出す。



戻ってカルテだけでもまとめなきゃ。



明日の準備もまだだし、ご飯も食べていない。