それでも君を

あーあ、そっち怪しまれてる…



「うん、大丈夫」



これは本当だ。



「そうですか…。ちょっと脈だけとらせてもらってもいいですか?」



あ、それはもう、ぜんぜんよくないです。



こんなにドキドキしている時に測られたくないです。



「えっ、なんで?」



至って平常心を心掛けて答える。



今すぐはお断りさせて頂きたい。



「時々このお薬で頻脈になられる方がいるので、少し心配で」



あ、そうなのね。



でも今はなぁ…もう少し後で心配してほしい。



「あと3分後ならいいけど」



それだけあれば落ち着くでしょ。



私からの変な提案に水沢先生はぽかんとしている。



「?…分かりました。本当に辛くないのなら良かったです」



辛くないって言っても高熱だから元々辛いんだけど。