それでも君を

「目の前にいるのは誰?」



「そ、うくん…」



「よかった、わかるね?もう大丈夫だから。安心していいよ」



涙が止まらない。



今までも押さえつけられる場面はあったはずだ。



それなのに、子どもの頃の記憶がフラッシュバックしたのは初めてで、私自身も戸惑いを隠せなかった。



「処置セット持ってきました」



看護師が遠慮がちに声をかける。



「そこ置いておいて。後は俺が預かる」



颯くんの言葉を受けて、分かりましたとの返事を残し、看護師が部屋から去って行く。



その間も颯くんの手はずっと私の背中を擦っていた。