それでも君を

「お、2回やらなきゃいけないの知ってんだ!」



「最初に説明したので…」



私の代わりに水沢先生が答える。



「じゃあそういうことだよ。嫌でもやらなくちゃなんない」



颯くんはこういう時甘やかしたり、誤魔化したりしない。



「ぐずっ、やだよぅー、、」



「梨央なら頑張れる。俺もついてるから」



「じゃあ次はここから採血しますね」



ヤダヤダしてるうちに、水沢先生によって淡々と準備が進められていく。




「颯くん、助けて、怖いっ!」



「うん、これ終わったら熱下げてやるからな〜」



違う、そういう意味じゃないっ。



「はい、じゃあもう一回頑張りましょう」



準備が完了したらしく、水沢先生から恐怖の掛け声がかかる。



いつの間にか颯くんに身体を押さえられていて身動きは取れない。



「やっ、止めてっ!」



「梨央、大丈夫。リラックス」



「無理!できないっ!ーーーっ!痛いっっ!」



結局抵抗虚しく水沢先生の最初の宣言通り2回採血を行った。



発熱しているのに加えて抵抗して泣き叫んだお陰で、終わった頃にはもうぐったりだ。