「はい、いいですよ。大丈夫でしたか?」



丁寧な水沢先生の聴診が終わり、病衣を整えていた私にそんな声が掛けられる。



「うん、大丈夫。で、どうだった?」



待ちきれないとばかりに質問を返す。



「そうですね、ドクンドクンとかゴウゴウとか聞こえました。」



「それ、私の感想と一緒じゃん!」



期待していた答えとは違った返答がきて、思わず突っ込みを入れる。



「バレました?」



ニッと笑って誤魔化す水沢先生に冷めた眼差しをお見舞いする。



「すみません、調子に乗りました。」



ふざけたり謝ったり、忙しい先生である。



「少しだけ真面目に話しますね。息を吸うときに少し雑音が聴こえます。これは肺に炎症が起きている証拠です。」