それでも君を

ピピピピ



体温計が奏でる電子音が、思考を現実へと引き戻す。



「大丈夫か…?」



そんな些細な私の変化に気付くところもまた颯くんに似ている気がする。



「…うん」



挟んでいた体温計を取り出し、流れ作業のようにマッキーへ渡した。



受け取った体温計をチラッと確認すると、今日の日付でシートを立ち上げ、記録を書き出す。



確認しなくても分かってはいたが、どうやらやはり発熱しているらしい。