それでも君を

歩いている途中から出始めた咳を、少し気にするような素振りで一回だけマッキーがこちらを振り返ったが、それ以外は真っ直ぐ前を見つめて進んでいく。



そんな背中を少し頼もしいと思う自分がいることに、自分自身戸惑ってしまった。



「入って」



診察室の前まで来ると、そう言われて背中を押される。



誘導されるがまま、患者さん用の椅子に腰掛けた。



ゴホゴホッ



「嫌な咳だな」