それでも君を

よく分からないまま先生の聴診器を手渡される。



えぇー


これは、どうしたら…?




「立川さんが音を聴いて、どんな感じなのかを僕に教えてください」



「え、本気で言ってる、、?」



思わず思ったことが口から出てしまう。



「はい、本気です」



爽やかスマイルで言い切られる。



この先生の診察断るとこんなことになるのか…



初めての経験に戸惑いつつも、それでも興味本意でいつもの颯くんを思い出しながら真似てみる。



聴診器を当てると、自分の身体の中の音が自分の耳へと入ってきて不思議な感じがした。



うわ、こんな風に聴こえるんだ…!



「どんな感じですか?」



私の様子を見守っていた水沢先生からそう質問されるけれど、なんて答えればよいのか、よく分からない。