それでも君を

こんな反射スピードで間に合う訳がない。



脇からスルッと抜かれ、隠さなきゃいけない体温計は既に真ちゃんの手の中だ。



「37.5℃だよ」



ほらっ、上がったじゃん…!



「あれ?なんでだろうね?急に上がったみたい…?」



言い訳が苦しい!



自分で言ってて苦しいよ!



「梨央ももうすぐ医者になるっていうのに、まだそんな嘘つくんだねー。お仕置きが必要なのかな?」