それでも君を

スマホの着信音が鳴り響く。



「…はい」



素早く画面を確認し、通話し始めたのは真ちゃんだ。



「うん、大丈夫…。…え、あー、そっちで対応できないかな?…うん、うん、…ああ〜そうなんだ…わかった。はい」



会話の内容から大体のことは読み取れた。



「…病院行くの?」



「ごめん。日直の研修医の先生の言うこと、患者さんが聞いてくれなくて、手に負えないみたい…」



今日オンコールじゃないんだけどな、と言いながら真ちゃんが立ち上がる。



「すぐ戻るから、無理しないで寝てるんだよ?」