それでも君を

こちらへ振り向くことなく、返事だけが聞こえてくる。



それじゃあ心が満たされない。



もう一回つんつんと肩を触る。



「なーに?」



今度はしっかりとこちらを振り返って返事をくれた。



「なんでもなーい」



振り返ってくれた事が嬉しくて、くすっと笑ってブランケットに隠れる。



「なにそれ」



優しい笑顔で私の頬に手をあてる真ちゃん。



その手をくるっと反して、今度は手の甲で首元の体温が測られる。



「ちょっと下がったかな」



安心したように私の頭を軽く撫で、視線はまたパソコンへと戻っていった。



大好きな人に触れてもらえて、それだけで心が満たされてしまう。



満足したので、邪魔するのはしばらくやめておこう。



そう思った瞬間だった。