「やるべきことは梨央が拒否しても、先生の判断でやっていいって言ったはずだよ。」



話す声はすごく静かだが、それが却って心拍数を上昇させた。



これは正直、私でも怖い。



「はい…」



私もつられて大人しくなる。



真ちゃんを諭しながら、私の下半身にタオルをかける颯くん。



不用意に肌が晒されないよう、そこは配慮してくれているようだ。



ただ配慮が整うと、病衣へ手が掛けられるまではあっという間だった。



医療に遠慮なんてない。



そう見せつけられているようで、もはや、やめて!と言える雰囲気など欠片ほども残っていない。



「患者さんの気持ちを汲み取ってあげるのはすごく大切なことだよ。けど、きちんとした判断を下さないと助けられる命も助けられなくなる。」



「…気を付けます。」