「どう?ちょっと楽になった?」



そう私に声をかけながら戻ってきた真ちゃんの手には、何やらタオルのようなものが握られていた。



大体奥から戻ってくると、みんな何かしら手に持っていてビクビクする。



また痛いことされるんじゃないかと思うと…



診察室の奥、恐怖でしかない。



だけど、今回はホットタオルで挿入部を温められただけだった。



「もう少しだし、これで凌ごう。ちょっと速度も落とそうかな」



温めたのと、少しゆっくりにしてもらったお陰で、痛みは気にならない程にまで軽減した。



ガラッ



「ごめん、ひとりにして…ってあぁ、水沢いれくれたのか…」



急いで戻ってきてくれたような颯くんが、真ちゃんの姿を見て、よかった、と声を漏らす。



「お疲れ様です。呼び出しですか?こっちはもうすぐ終わりそうです」



輸血バッグを見上げて、颯くんに報告をあげる真ちゃん。



「副作用もなさそうだな」



私の状態を確認して、颯くんが珍しく安堵の表情を見せる。