「なかなかいける口だな、矢崎。」

「お酒強いはずですよ私!母が島人ですからね!」

気づけば1杯どころか、もう2人で一升瓶のほとんどを飲んでいて、お互い良い感じに呑んべぇになりつつあったが正気は全然ある。…多分。

「矢崎は、まだ男性が怖いか?」

難波さんが、誘拐当時の話を持ち出す。

「…怖い、かもしれません。
まぁあれから恋愛と遠ざかってるから怖いって思う事もないんですけどね。」

しみったれたムードにはしたくない。
それに正直、私は難波さんと一緒に呑む時間を楽しんでる。

「初めて俺と出逢った時、怖いと思った?」

ほんのり眠そうな目になった難波さんが、
あの時と似た優しい表情で尋ねてきた。