親友に春が来たのは、本当に嬉しくて仕方ない。

でも素直に喜べない自分がいる。

私も''ガン"じゃなかったら、普通に恋とかできた

のかな...。

親友の楓にでさえ、心の壁を作ってしまっている。

「良かったね」

こうやって親友にまで、嘘の笑顔を見せる自分が

嫌で嫌でたまらなくなる。

このままじゃダメって分かってる。でも変えられ

ない。変えることが出来ない。

そう思うと涙が滲んで来る。でも泣いちゃいけない

んだ。本当に泣きたいのはお母さん、お父さんなん

だから。

席について外を眺めながら7年前の事を思い出す。




忘れることのない、あの晴れの日を.......