「よっ桜奈。」
いつもどうりの楓を見ると、何だか安心して肩の力が抜けた
「さーさー早く着替えて!」
そう言ってチャイナドレスを指さし、笑う楓。
「楓...着るの?本当に?」
「もちろんでしょ?グダグダ言ってないでさっさと着る!!」
はぁ.....
「分かったってば」
いやいやチャイナドレスに着替えて楓の前に立つ。
「OK!可愛くしてあげるから、じっとしててね」
ノリノリでメイクをはじめた楓。
10分くらいして、出来上がった自分を見て、びっくりした。
「うわぁー」
楓のしたメイクは、本当にナチュラル。でも、自分が自分じゃないみたい
「いいでしょ?桜奈、めっちゃかわいいよー。もう、彼女にしたいくらい!」
「彼女は言い過ぎだってば!!」
「これ見たらあいつ完全に惚れるね…」
ん?誰のことだろ?あいつって。まぁ、私のことじゃないか。
その後も楓とじゃれながら教室の扉を開けた。
シーン.........。
私が入った瞬間に教室が静まりかえった。
「え?えーーっと…...誰?」
学級委員の人が聞いてきた。
はい?クラスメイトの名前も分かってないの?まぁ、あまり関わらなかった私も悪いけど…
「誰って、宮本 桜奈ですけど?」
「えぇぇ??宮本??」
「はい。そーですけど」
『え?宮本さん?』
『可愛くない?』
『はぁ?あの地味子なわけないじゃん』
『.....あり。もろタイプかも...』
男子は、皆目を逸らし、女子は食い入るように見てくる
「楓?そんなに変だったなら先に言ってくれてもよかったじゃん…」
はぁ...これを瀬戸内くんに見られちゃうの、すごく嫌だな.....
「いやいや、変じゃないから。桜奈が可愛すぎるから、皆驚いてるだけで」
...楓、上手いお世辞、ありがとう...
「宮本??」
その時、今私が1番聞きたくなかった声がした
「宮本だろ?.....こっち見ろよ」
「む、無理!」
「いいから!俺が見たいだけだから」
肩を掴まれて、くるりと前を向かされる
私は、どんな反応をされるのか怖くて、ギュッと目をつぶった。
「み、宮本?」
それ以上何も言わなくなった瀬戸内くんを不思議に思い、恐る恐る目をあける
するとそこには、執事の服を着て、髪を緩くセットした瀬戸内くんがいた
か、かっこいい.....
私たちは、しばらくの間、見つめあったまま固まっていた。
「.....奈!桜奈!」
楓の声でふと我にかえる
や、やばい…瀬戸内くんがかっこよすぎて見とれてた…
「「ごめんっ」」
「え?」
「あ...」
瀬戸内くんと声が重なり、私の緊張は、さらに増していった
「宮本.....その、あの.....それはダメだろ」
ダメ?...あぁ、この格好か…
「やっぱ変だったよね?」
なんか傷つくな...瀬戸内くんには、変って言って欲しくなかったのにな.....
「いや!あのーそうじゃなくて.....あーーもう!」
急に慌てだした瀬戸内くん。
「と、とにかく!知らない男には気をつけろよ!」
ん?あ、もしかして私のこと、小学生扱いしてんの?
「私は小学生じゃないからね?」
それだけ言ってサッと立ち去る。
「よ、よし!南祭、盛り上がっていくぞー!」
『おーーー!』
そうして、南祭が始まった。
