南祭当日。私は、楓が買ってくれたドレスを持って行きながら、大きなため息をついた
「はぁーー」
これ、本当に着なくちゃいけないんだよね?
いつもだるく感じる学校前の坂も、いつもよりずっと憂鬱だった。
その時、後ろから声がした
「おーーい!宮本ーーー!!」
ーーードキッ。
最近、この人の声にだけ体が反応する
「おはよっ宮本!!」
「うん。おはよう」
なんでか分からないけど、瀬戸内くんの声を聞く度に元気になってる気がする
そんな呑気な事を考えていたら、瀬戸内くんが有り得ない発言をした
「なぁー、宮本??.....今日、一緒に回らね?」
「は?」
今、なんて?
「だーかーら!今日の南祭、俺と回らねえか?」
「誰が?」
「お前が」
「誰と??」
「俺と!!」
えぇぇ??私と瀬戸内くんが??
.....行きたい。行ってみたいけど…...
「いい。瀬戸内くんは他の子いるでしょ?私は1人でぶらぶらしたいから。」
悲しいと思っているのを隠すように少し強めの声でいった。
その時、悲しそうな瀬戸内くんが目に入ったけど、見てないフリをして横を向く。
「そっ.....か。分かった」
ふぅ。これで「じゃあ勝手について行く!!」
はぁ?何言ってんのこの人?
「だーかーらー私は1人で『俺が勝手について行くだけだから!な?それならいいだろ?』」
満面の笑みで詰め寄られ、とうとう折れてしまった
「はぁ、いーよ」
「よっしゃー!!!ありがとなー」
そう言ってニカッと笑う瀬戸内くん。
その笑顔にドキッとしたことや誘われて嬉しいと思っていることは内緒。
少しでもその気になってしまったことが恥ずかしいしね
午前中、私はとりあえず色々と回ってみることにした
...へぇー。結構楽しそうなのあるんだね〜
「へぇー。結構楽しそうなのあるんだなー」
.....なぜ?なぜいる?
横には、楽しそうに笑っている瀬戸内くんの姿が。
「ねぇ、瀬戸内くん?」
「ん?なに?」
「私、ついてくるのはいいって言ったけど、一緒に回るのはいいって言ってないよね?」
「.....さぁ〜なんのことだか?」
......誤魔化したな、この人。まぁいいか。どうせ言っても無駄だと思うし…
「あ、美味しそう...」
美味しそうなクレープ屋が目についた。
「ほんとだ!あそこ行くか?」
わざわざ聞いてくれる瀬戸内くん。
でも.....
「甘いのは無理。」
あーあ。なんでかな...今日ぐらい忘れたかったのに
ーーーーーガンのことなんて……。
「宮本?大丈夫か?」
瀬戸内くんの声ではっとする。
ダメダメ。バレたらいけないんだから、ちゃんとしないといけない!
「うん。大丈夫!行こうか」
無理やり笑顔を作って笑う。
「宮本...…」
寂しそうな瀬戸内くんの声を無視して歩きだそうとすると、
ーーーーーズキン。ズキン。
「いたっ!」
やっぱりね...なんかおかしいって思ってたら…
ーーーーーズキン。ズキン。
……これは、少しヤバいかも...。
痛いけど、薬。薬飲まなきゃ!
フラフラする足をどうにか動かして人目がない所へ移動する。
ケースから薬を三粒取り出し、ごくんと飲み込む。
「え?宮本?」
座って痛いところを抑え、じっと痛みが引くのを待つ
ようやく落ち着いてきて、顔をあげる
「え?瀬戸内くん?な、なんで...」
そこにはいつもの余裕のある瀬戸内くんではなく、酷く焦っている瀬戸内くんがいた。
「おい!大丈夫か?宮本!」
そう言って駆け寄ってくれる瀬戸内くん。
「うん。もう大丈夫だから。」
すっと立ち上がり、ニコっと笑顔を見せる。
「なぁ。宮本...お前...
「忘れてっっ!」
彼の言葉を遮って叫ぶ
「は?忘れろって言っても
「いいからっっ。お願い!」
お願い……何も、何も聞かないで...。
「……分かった。」
そう言って俯く瀬戸内くん。
『只今からお昼休憩に入ります。午後からの人は準備をしてください。』
アナウンスが聞こえて立ち上がり、出口の方へと進んでいく。
「み、宮本。」
瀬戸内くんの声が聞こえて、ドキッとする。
...やっぱ聞かれるよね...。あんなあからさますぎる態度とったら。
瀬戸内くんだけは...瀬戸内くんだけは離れて欲しくなかった.....嫌われたくなかったのにな。
「その.....文化祭、頑張ろーな!!」
「えっ?」
思いもよらない言葉に、弾かれるように上をむく。
そこには、いつもの太陽のような笑顔の瀬戸内くんじゃなく、笑顔の仮面を貼り付けて、無理やり笑う瀬戸内くんだった。
.....私がいけないんだよね。瀬戸内くんにこんな顔させてるのは、紛れもなく、私なんだ。
「うん.....。」
複雑な気持ちを抱えながら、着替えるために教室へと向かった。
「はぁーー」
これ、本当に着なくちゃいけないんだよね?
いつもだるく感じる学校前の坂も、いつもよりずっと憂鬱だった。
その時、後ろから声がした
「おーーい!宮本ーーー!!」
ーーードキッ。
最近、この人の声にだけ体が反応する
「おはよっ宮本!!」
「うん。おはよう」
なんでか分からないけど、瀬戸内くんの声を聞く度に元気になってる気がする
そんな呑気な事を考えていたら、瀬戸内くんが有り得ない発言をした
「なぁー、宮本??.....今日、一緒に回らね?」
「は?」
今、なんて?
「だーかーら!今日の南祭、俺と回らねえか?」
「誰が?」
「お前が」
「誰と??」
「俺と!!」
えぇぇ??私と瀬戸内くんが??
.....行きたい。行ってみたいけど…...
「いい。瀬戸内くんは他の子いるでしょ?私は1人でぶらぶらしたいから。」
悲しいと思っているのを隠すように少し強めの声でいった。
その時、悲しそうな瀬戸内くんが目に入ったけど、見てないフリをして横を向く。
「そっ.....か。分かった」
ふぅ。これで「じゃあ勝手について行く!!」
はぁ?何言ってんのこの人?
「だーかーらー私は1人で『俺が勝手について行くだけだから!な?それならいいだろ?』」
満面の笑みで詰め寄られ、とうとう折れてしまった
「はぁ、いーよ」
「よっしゃー!!!ありがとなー」
そう言ってニカッと笑う瀬戸内くん。
その笑顔にドキッとしたことや誘われて嬉しいと思っていることは内緒。
少しでもその気になってしまったことが恥ずかしいしね
午前中、私はとりあえず色々と回ってみることにした
...へぇー。結構楽しそうなのあるんだね〜
「へぇー。結構楽しそうなのあるんだなー」
.....なぜ?なぜいる?
横には、楽しそうに笑っている瀬戸内くんの姿が。
「ねぇ、瀬戸内くん?」
「ん?なに?」
「私、ついてくるのはいいって言ったけど、一緒に回るのはいいって言ってないよね?」
「.....さぁ〜なんのことだか?」
......誤魔化したな、この人。まぁいいか。どうせ言っても無駄だと思うし…
「あ、美味しそう...」
美味しそうなクレープ屋が目についた。
「ほんとだ!あそこ行くか?」
わざわざ聞いてくれる瀬戸内くん。
でも.....
「甘いのは無理。」
あーあ。なんでかな...今日ぐらい忘れたかったのに
ーーーーーガンのことなんて……。
「宮本?大丈夫か?」
瀬戸内くんの声ではっとする。
ダメダメ。バレたらいけないんだから、ちゃんとしないといけない!
「うん。大丈夫!行こうか」
無理やり笑顔を作って笑う。
「宮本...…」
寂しそうな瀬戸内くんの声を無視して歩きだそうとすると、
ーーーーーズキン。ズキン。
「いたっ!」
やっぱりね...なんかおかしいって思ってたら…
ーーーーーズキン。ズキン。
……これは、少しヤバいかも...。
痛いけど、薬。薬飲まなきゃ!
フラフラする足をどうにか動かして人目がない所へ移動する。
ケースから薬を三粒取り出し、ごくんと飲み込む。
「え?宮本?」
座って痛いところを抑え、じっと痛みが引くのを待つ
ようやく落ち着いてきて、顔をあげる
「え?瀬戸内くん?な、なんで...」
そこにはいつもの余裕のある瀬戸内くんではなく、酷く焦っている瀬戸内くんがいた。
「おい!大丈夫か?宮本!」
そう言って駆け寄ってくれる瀬戸内くん。
「うん。もう大丈夫だから。」
すっと立ち上がり、ニコっと笑顔を見せる。
「なぁ。宮本...お前...
「忘れてっっ!」
彼の言葉を遮って叫ぶ
「は?忘れろって言っても
「いいからっっ。お願い!」
お願い……何も、何も聞かないで...。
「……分かった。」
そう言って俯く瀬戸内くん。
『只今からお昼休憩に入ります。午後からの人は準備をしてください。』
アナウンスが聞こえて立ち上がり、出口の方へと進んでいく。
「み、宮本。」
瀬戸内くんの声が聞こえて、ドキッとする。
...やっぱ聞かれるよね...。あんなあからさますぎる態度とったら。
瀬戸内くんだけは...瀬戸内くんだけは離れて欲しくなかった.....嫌われたくなかったのにな。
「その.....文化祭、頑張ろーな!!」
「えっ?」
思いもよらない言葉に、弾かれるように上をむく。
そこには、いつもの太陽のような笑顔の瀬戸内くんじゃなく、笑顔の仮面を貼り付けて、無理やり笑う瀬戸内くんだった。
.....私がいけないんだよね。瀬戸内くんにこんな顔させてるのは、紛れもなく、私なんだ。
「うん.....。」
複雑な気持ちを抱えながら、着替えるために教室へと向かった。
