(桜奈side)

「桜奈ちゃん。おはよう。」

毎朝起こしてくれるのはお母さんやお父さんじゃない。

「おはようございます。」

そしてここは自分の家でもない。

目の前に見えるのは真っ白のシーツ。横には点滴棒。

そう。ここは篠崎病院。

「昨日は良く眠れた?」

「はい。」

私、宮本桜奈は、ここで入院している。でもここはただの病院では無い。



ー最終期がん医療センター。

私は、末期のがんを患っている。


つい最近、余命宣告された。

その時は、突然だったから泣いてしまったけど、今思えば、この世に対して未練はない。



辛いことしかなかったこの16年の月日は、



私にとって、大切な思い出なんかじゃなく






黒歴史だった。