幼馴染み____それは、幼い頃に親しくしていた友達。

私と優は、その言葉にぴったり当てはまる。



それは、私が小学生になったすぐのこと。

「初めまして〜榎本と申します。今日引っ越してきたばかりでどうぞよろしくお願いいたします〜」

「あらそうなんですか!東条と申します、わざわざすみません〜」

お母さんの話し声が聞こえて、お絵描きをしていた私は、その手を止め、玄関へ向かった。

「あ、琉南。新しくお隣に引っ越してきた榎本さんよ。挨拶して?」

お母さんの影から、綺麗な女の人が見えた。

「...とうじょう、るなです...はじめまして...」

初対面の人にはかなりの人見知りが発動する私は、お母さんの後ろに隠れながら、小さい声でそう呟いた。

「るなちゃんっていうの?可愛いお名前ね〜!あ、ちょっと待っててね。」

女の人はそう言うと、一旦扉の外に出て数秒後、戻ってきた。

.....男の子を、連れて。

「ほら、優も挨拶しなさい、」

「...おまえ、なまえなんていうん?」

「えっ?え、と...る、るな...」

その男の子から急に話しかけられた私は、びっくりしてさっきよりもか細い声になってしまった。

「...るな、...うん、おぼえた!おれ、ゆうってゆーんや!よろしくな!」

元気な話し声と共に、バッと差し出された手。
...に、握れってことかな...。

戸惑いつつも私は、その差し出された手に自分の手を重ねた。

「へへっ。あ、そーだ!るなゲームすき?」

「え?う、ううん...したこと、ない」

「そーなん?じゃあおれんちでやろうよ!たのしいで!」

太陽みたいな笑顔で誘われた私は、ゲームという響きにワクワクしてゆうくんについていった。

...それから、私はゆうくんのお家で、日が暮れるまでゲームに熱中した。
お母さんがかえるわよ!っていっても、私はまだゆうくんと遊んでいたかった。
駄々をこねる私を見てゆうくんは、

「また明日も遊ぼうや!!るなと遊ぶの楽しいし!」

そう、約束してくれたんだ。

だから、私とゆうくんが仲良くなるのに、そう時間はかからなかった。