膝に抱えたみぃは

一瞬固まって……………『うん、別れる。』と答えた。

そこにはもう涙はなく、海晴先生になっていた。

「航、ごめんね。
心配かけて。
航と付き合うようになってから
小さい頃のことが色々思い出されて、不安定になってたの。
さっき渡した精神安定剤の他に
睡眠薬も処方してもらってるんだ。
夢にまで出てきて眠るのが怖くなったから。
でも、航と別れたらもう見ないですむはずだから助かる。
自分から『別れる』っていう勇気がなかったから…………。
これで大丈夫。
航も困るよね?
自分の彼女がうつ病で心療内科に通ってるなんて。
明日からは、また後輩だからね!
ビシビシこき使うよ!」

とても饒舌にそう話すと

僕の膝から降りて

「もう疲れたから、帰って。」と追い出された。

みぃ……。

ドアを閉める時見た一瞬の彼女の顔には………

冷たい表情が乗っかっていた。