※1日目※
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あたしは貰った紙を見つめていた。

かれこれ30分はこうしているだろうか。

“ 鶴伽真”

何故か気になってしまう。

どうしてなのかは分からない。

「なぁーさっきから何見てるんだよー」

ヒモ君が隣でポテチを食べながら、あたしの手元にある紙を覗いてくる。

「んー?…なんか難しい漢字ばっかでよく分かんねぇなぁ。…こっちの紙は…住所と電話番号か?」

そう言って首を傾げながらまじまじと紙を見つめる。

流石ヒモ君。

身長も小さければ頭脳も小さいのね。

あたしはフッと笑った。


本名、坂巻 潤平。通称、ヒモ。
身長、163cm。

中卒の現役ニート。
茶髪の癖っ毛。
私服は、あたしの高校時代のジャージ。
可愛い顔をしていて、俗に言う子犬系男子。
顔が可愛いおかげで、あたしと出会う前から色んな女性でヒモ生活。


頭は悪いけど、顔と放っておけない性格から可愛いから許されてきたんだろうね。

あたしもその1人か。

コンビニの駐車場で丸くなってるのを見つけて、つい声をかけちゃったんだっけ。

母性本能ってやつはたまに怖くなる。

別に付き合ってるわけじゃないし、体の関係を持った訳でもない。

ただ、弟みたいな関係。

でも、酔った勢いでキスはした。

お互いに恋愛感情は無いけど、その場の雰囲気で。

ただただそんな関係。