男はニヤリと笑った。

「僕は君の心が読めるんだよ」

そう言って、あたしの目の前に紙切れをチラつかせた。

“鶴伽・怪異探偵事務所:鶴伽 真 ”

「正解は、探偵さ」

そう言ってあたしに紙切れを渡してきた。

「つる…まこと…?」

あたしは眉間に皺を寄せて紙切れをじっと見つめた。

「つるが しん」

男はそう言ってニカッと笑った。

つるがしん?

もしかして、この人の名前?

それに、探偵って。

そんな考えは思いつかなかった。

それに、探偵なんて初めて会った。

「探偵の方があたしに何の用ですか…?」

あたしは恐る恐る訪ねた。

男は、ゴソゴソとズボンのポケットからクシャクシャに丸められた紙を取り出した。

「はい、これ」

男はそう言って、丸まった紙を開きあたしに渡してきた。

そこには、住所と電話番号らしきものが書いてあった。

「僕はいつもそこに居るから、気が向いた時に来てくれ」

そう言い残して男は、ゆらゆらと歩きながら行ってしまった。

あたしはもう一度紙切れとシワシワになった紙を交互に見返した。

「つるがしん…」

なんだろ。

なんか、不思議な感じ。

初めてあった感じがしない。

なんでだろ。

あたしはぬるくなったミルクティーを一気に飲み干した。