次のバイト見つけなきゃなー。

て言っても、やっぱりこうして公園のベンチで考え事するのも悪くないな。

そんなことを考えながら自販で買ったミルクティーを飲む。

「きみきみ…」

ん…?

あたしがミルクティーを飲んでいると、右隣から声がした。

「きみ、暇そうだね」

隣を見ると、あたしの顔をまじまじと見つめる男と目が合った。

おまえだれやねん。

ボサボサの黒髪に、レンズが手垢で汚れている黒縁メガネ。

それに、ヨレヨレの服と草履。

誰がどこからどう見てもただの不審者。

「ぁー…。なにか?」

あたしは引きつった顔で男を見た。

「きみ、最近バイトをクビになったばっかだね?」

男はなんの躊躇もなくそう言ってきた。

なんなんだこの人は。

なんでそんな事を知ってるんだ。

あたしは小さい脳みそをフル回転させた。

ストーカー?

いや、それだったらとっくに気づいて警察に相談してる。

変質者?

だったら、こんな人目に付く所で白昼堂々と話しかけてなんて来ないはず。

怪しい勧誘?

それだったら、あたしがバイト辞めたのをなんで知ってるんだろ。それに、見た目からして違う。

考えれば考えるほど分からなくなってくる。

「ストーカー、変質者、怪しい勧誘。んー。どれもハズレ」

男はそう言って笑った。

え…。

あたしはあ然としてしまった。

「な、なんであたしが考えてる事がわかったの…」