スマホの時計はもうすぐ8時になろうとしている。

やば。バイト忘れてた。

あたしは重たい体を無理やり起こし、バイトへ行く準備を始めた。


「ヒモ君、あたしこれからバイトだから行ってくるね?家の鍵はいつもの所に置いとくから」

そう言って靴を履き、家を飛び出した。

外は、真夏の太陽がジリジリとこちらを睨んでいた。


「また君は遅刻か?!これで何度目だ?!」

店長の怒鳴り声が休憩室に響き渡る。

「すいません。」

あたしは頭を深く下げた。

「毎度毎度、そうやって謝れば済むとでも思ってるのか?!」

店長の唾が頭にかかっているのを感じる。

きたない。

最悪だ。

「もういい!!君はクビだ!!!明日から来なくていい!!もう帰れ!!!」

店長はそう言い捨てると、休憩室を出ていった。

あたしはずっと下げっぱなしだった頭を上げた。

今、あたしどんな顔してるんだろ。

あたしはそんな事を考えながらロッカーから私物を全部出し、鞄に詰め込んだ。

なんか安心してる?

いや、気が重いのかな?

なんとも言えない感情のままあたしは店を出た。