「彼女なんだしさ、もっと見に来ればいいんだよ、水曜日休みなら毎週くれば、誰にも遠慮することないんだよ」
「そうだね、ありがとう玲奈」
夜、幸太に電話する
「今日ね体育館に見に行ったよ」
「えっ、どこにいた?」
「二階だよ、でも上がったとこ、女子のコートの方にいた、邪魔しちゃいけないと思って」
「邪魔ではないけどさ、言ってくれてたら探したのに」
「幸が上みたら女の子達が悲鳴あげるよ、声援すごかったね」
「集中してるからあまり気にしてないけどな」
「またまた、名前呼ばれたらわかるでしょ」
「また、水曜日見に行くね」
「ん、気にしとく、手振ってもいいのかな?」
「うん、幸の彼女として堂々とする」
「じゃあ、いいとこ見せないとな」
「今日もカッコ良かったよ」
「ありがとな」
「幸ちゃーん、ご飯」
樹里亜の声が聞こえた
「今日樹里亜も休みだったから樹里亜が飯作ったんだ、じゃあ、またな」
「うん!」
見に行ってもいいってことだよね、毎週幸を見れることを幸せと思うことにしよう
次の水曜日は一人で見に行った、幸は気付いてくれて笑ってくれた、隣で奏多くんが手を振ってくれた
軽く手をふりかえしたが奏多くんの彼女と思われただろうか、幸太は奏多の手を持ち、やめろよと言っていた
5月の25日、香澄は午後から休講になった、明日水曜日だから行こうかと思っていたけど時間が空いたし今日は事務所に顔を出すだけだし幸太のお母さんのお墓参りに行こうと電車に乗ってお寺にむかった
お墓の前で手を合わせていると誰かがやってきた
「君は?」
「佐伯香澄といいます」
「ああ、幸太の彼女さんだね、樹里亜もお世話になってるようで……二人の父親です」
「初めまして、こちらこそお世話になってます」
「今日は店の定休日でね、普段は朝くるんだけど今日は用があって午後からになったんだ」
「私も明日来る予定だったんですけど授業が休講になったので来たんです」
「母さんが引き合わせてくれたのかな~」
お墓に手を合わせる
「今日はこれからの予定は?」
「事務所によるだけです」
「じゃあ、もしよければ事務所まで連れていくよ、その間に私は夕食の買い物を済ませるから一緒に夕食をたべていかないかい?」
「幸に会えるんですね、図々しいけど会えるならお邪魔します」
「じゃあ行こう」
二人は車でお寺を後にする
「こんにちは、お疲れ様です」
「香澄早いわね」
「休講になったんです、お墓にいったらお父様にお会いしてつれてきてもらいました、夕食もご馳走してもらうことになって今買い物にいってます」
「兄さんに会ったの?」
「はい」
「いいわねー、プロの料理が食べれて(笑)」
「嬉しいです」
「これ、来月の予定と雑誌とあとプレゼント用にサインを五枚書いてくれる?」
「はい」
サインを書いていると幸太の父親がはいってきた
「兄さん久しぶりね」
「政美も忙しそうだな、ちゃんと家のことはやってるのか?」
「一応っていっても不規則だから旦那のお母さんに随分助けてもらってるわ(笑)」
「おっサインか、いいな、私も書いてもらおうかな、色紙はあるかい?」
「あるわよ」
政美が香澄にもう一枚渡す
「私のサインなんかいりますか?」
「母さんのところに今幸太と樹里亜のを飾ってるんだよ、香澄ちゃんのサインも隣に並ぶことになるね」
「ありがとうございます」
「幸太が君を離さないと思うよ(笑)気に入った子を見つけたって喜んでたからね」
「それはいつ頃でしょう、もうあきられてないですかね(笑)」
「母さんのところに行った日かな、帰ったら聞いて聞いてって寄ってきたから」
最初のデートの時か、引かれたらどうしようとか言ってたもんな
「じゃあ、うちに行こうか」
「はい」
「政美もまた家族で食べにおいで」
「そうね、結婚記念日にでも予約するわ、また、連絡する」
「じゃあな」
二人は事務所を後にした
家に夕食がいらないことを連絡して二人で夕食の支度を始める
「お客様なのにゆっくりしていいのに……」
「でも、プロのお仕事みたいですし、幸も器用で上手ですけど」
「普段は私が休みの時はあえて和食にするんだが今日は香澄ちゃんに食べてもらいたいから幸太のすきなクリームコロッケにするよ」
「難しいですよね、私は作ったことないです、冷凍のもありますけど一度揚げてくずれちゃいました」
「温度が微妙だよね」
玄関のドアが開く
「ただいまー」
玄関に見慣れない靴があった
樹里亜の靴じゃない、小さい、まさか香澄?
走って台所にいく
「か、すみ」
「おかえり、幸」
「香澄だ~」
香澄に後ろから抱きつく
「ちょっと危ないでしょ」



