「幸は昼食べたの?」
「ああ」
ドアがあく
「亜由美ちゃんお願いします」
「はーい」
亜由美が出ていく
「はあ、あの子といると息がつまる、話すことないし……」
「その為に香澄がいるからいいじゃん」
「そうだけど」
香澄は急いで食べていた
ふたりの会話も耳に入らず
「着替えてくるわ、香澄はゆっくり食べていいわよ」
「ふぁい」
口に入れすぎてまた返事できなかった
「(笑)入れすぎだよ、どう?仕事きつい?」
香澄は口を動かしているので頭を横にふった
幸太が飲み物をとってくれてゴクンと飲み込む
「私は特に何もすることはないの、今みたいにお昼を買いにいったりするだけ、メイクでもスタイリストでもないから、こんなんでお金もらっていいのかなー」
「この一週間は樹里亜といることでいいんだよ、政美さんは春からの香澄に期待してるんじゃないかな」
「そうなの?」
「樹里亜はこの小さい事務所にとっては看板だからな、香澄がいてくれることで樹里亜も機嫌よく仕事ができるってこと、特に今日みたいな日はね」
「亜由美さん?」
「そう、樹里亜のキライなタイプだな」
「確かにめんどいし、空気が悪いのはわかる」
樹里亜が戻ってくる
自分のバックからヘアアイロンを出し器用に巻いていく
「今日は長田さんはいないんですか?」
「さっき来てスタジオに直接行ったわ」
「ごちそうさまでした、ちょっと歯磨きしてきますね」
香澄は部屋からでていった
「今日の撮影バレンタイン特集なのよ、幸ちゃんと香澄で撮る?」
「男が入ってもいいのか?」
「カップルバージョンでいいんじゃないの?亜由美と友チョコなんて嫌なのよね」
「今は彼氏より友達に手作りチョコあげるんだろ?」
「顔に出ないようにしなくちゃ」
樹里亜は鏡をみてにっこり微笑んだ
「樹里亜きれいだよ」
「もちろんよ(微笑)、行くわ、香澄が来たらいらっしゃい」
「二人になったらキスしてから行くから少し遅くなるけど?」
「五分ね」
樹里亜は部屋から出ていった
香澄が戻ってくる
「あれ、樹里亜さんもしかしてもう行った?」
昼食を急いで片付け、鞄を持った香澄に幸太は後ろから抱きつく
「何?いかなきゃ樹里亜さんが……んっ」
幸太が強引にキスをする
香澄は幸太から離れようとする
「樹里亜から五分もらった」
(五分?)香澄は横目で部屋の時計を見た
幸のところから時計なんて見えないじゃない
「お許し出てんだから」
キスを落としながら香澄の鞄をおろし香澄を自分のほうへ向けて香澄の顎と頬を右手で押さえ左腕をかすみの首にまわし密着させる
(んっ、激し)
香澄は力が抜けてきた
「ふう、大丈夫か?香澄」
「大丈夫じゃないよ、はぁ、信じられない仕事中にするなんて」
香澄はその場に座りこんだ、時計をみると五分たっていた
なんで時間通りなのよ、逆に文句言えなくてくやしぃー
「はぁ、鞄取って、リップ」
「はい」
幸太は鞄を渡す
香澄はリップクリームを唇に塗りながら
「いくら樹里亜さんがオッケーだしてもこれからは駄目よ、仕事中なんだから」
リップをしまい鞄をかつぐ
「仕事終わったら俺の家行こうな」
二人は控え室を出て鍵をかけスタジオに向かう
「樹里亜さん、すみません遅くなりました」
「いいのよ、五分でよかったのかしら」
「もう仕事中なんですから許可出さないで下さい、幸が調子に乗りますから」
「(笑)そう?若いんだからいいのよ」
「いえ、時と場合を考えてってことです」
「樹里亜、入って~」
「はーい」
樹里亜と亜由美の撮影が始まる
バレンタインの日のデートコーデと友達とお揃いコーデ、樹里亜の少し大人なコーデと撮影していく
「うーんいまいちだな」
撮影が止まる
「樹里亜を幼くヘア変えてみるか」
「ツインテールとかお団子とかですか?」
「もう、樹里亜さんは大人のイメージがついちゃってるから難しいんじゃないてすか?もう友チョコとかしない年齢だし、私でも、もうしませんよ」
「確かになー香澄ちゃんでいくか」
「へっ」
「樹里亜は次の衣装に着替えて、そのモコモコを香澄ちゃん着替えてきて」
「行きましょう、香澄、長田さんも」
三人がスタジオから出ていく
「幸太くんの撮影はないの?一緒にカップルでとる?」
「カップルもいいな、幸太は今日の服のメーカーはわかってるか?」
「わかりますよ」
「じゃあ、メイクして来て香澄ちゃんと撮ろう」
「はーい」
幸太もスタジオを出ていく
亜由美は1人残された
「私が提案したのになんで幸太くんの相手は香澄ちゃんなんですかー」
「ほんとのカップルだからねラブラブ感を出してもらおう」
政美が入ってくる
「お疲れさま、あら、亜由美1人?」
撮影スタッフから事情を聞く



