―「手出して」
「はい…」
膝の痛みはやっとひいてきたらしい。
美優は優斗の肩にやっていた手を離した。
「右手だけ?」
「はい……あ」
「?」
美優はさっき掴んでいた優斗の左肩を見ていた。
すると、それに気付いたのか、優斗は不思議がり自分の肩に目をやった。
「あ…」
「ご、ごめんなさい…」
優斗の左肩には、美優が強く掴んでいたため、血が染みてしまっていた。
「洗います!」
「あーいいよ別に」
「いや洗うんで!」
「いーから!はいっ手」
気にしていないような優斗は、おどおどしている美優の右手を掴んだ。
「え」
「消ー毒!」
「あ……でも洗いますから!」
「ふっ」
鼻で笑った優斗。
「なんですか?」
「え…いや……敬語に戻ったなーって…」
「…え、…あ、すいません」
私、先輩に向かってタメ口だった?
「あ、そういう意味じゃなくて…俺気にしないし」
「え…いや……」
「むしろタメでいいし……ね?」
そう言って美優に向かって微笑んだ優斗に、美優がドキッとしたのは言うまでもない…
