「ただいまー」


あれから一直線に家へと帰った。


「あらっおかえり」


玄関で靴を脱いでいたら、母さんが台所からヒョコっと顔を出した。


「ただいま…」


「すぐごはんだからねー」


「はーい…」


そう言うと、リビングに入った。


「はぁー…」


ため息を一つつくと、


「なーに高校生がため息なんてしてんだよー」



横から声がした。


「兄ちゃん」


今日帰るの早いんだ


「どうした?」


優しい口調で私の顔を覗いてきた。



「……べっつにぃー」


言葉とは裏腹に、唇を尖んがらせた。


「いや、モロなんかあっただろ」


苦笑しながら兄は言った。



「はぁー…」


「老けるぞ」


「うっさい」


「あ、老けた」


美優は兄をギロリと睨んだ。



「こえ……まー何かあったら言えよ?」


「絶対いわない」


「お前なぁー、人の好意を踏みにじるなんてバチあたるぞ」


「知ーらない」


美優は兄の横を通り過ぎリビングを出て、階段を上り、自分の部屋へ入った。


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