でも…
「本当に、出ないんですよね…?」
本当に本当なのか、もう一度聞いた。
「出ないって。…あ、そういう系ダメなんだ?」
そう言って、クスクスと笑ってくる先輩。
ムカ
「いいえ?平気です!」
なんか馬鹿にされた感じで少し腹が立った。
「嘘下手だね」
あ、
「え…本当、です…から」
ふと見せた先輩の笑顔が
「噛んでるじゃん」
ふわっと優しく笑った笑顔が私の思考を一瞬止めた。
あーやばいな…
「どうしたの?」
もっと笑って欲しい…
「おーい」
もっと見たい
「ねぇー!」
その笑顔が………
「わっ!」
「え?何?」
「わわわわわわわっ!」
何?どうしたの自分!
おかしいでしょ!
「え?!仲里さん?」
おかしいおかしい
「え、帰るの?!」
おかしいおかしい
「え、ちょっ…」
ガタン!
「えー?」
一人残された高瀬。
「ん?」
出入口のところに何かが転がっていた。
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