「あ゛?におい? いつもと同じだろ。」 柑橘系の、爽やかな匂い–– でもきつすぎない、優しい匂い。 『そっか。じゃ私の気のせいだね。』 「変なやつ。」 亜蓮はそう鼻で笑った。 今日の亜蓮の匂いは、彼が使っていた柔軟剤の匂いで。 ーいい匂いだねって言ったら、柔軟剤の匂いだって教えてくれたんだ。 彼を忘れることができない私は、馬鹿だ。