いつもなら話しかけてくる女なんて話したくねぇから無視するけど、目の前にいる女は、なにかが違う気がした。


ぶっきらぼうな言い方で返事をすると、女は気にした様子もなくなにか一人で考え始めた。


「おい、遅刻するぞ?」


あまりにも長く考え込んでいるものだから、そう声をかけると


『え! ありがとうございます!』


ものすごく綺麗な笑顔で、そう言った。


自分の顔が赤くなるのがわかった。
少しぼーっとしていたが、我に返って


「おい!お前名前は!」


とっさにそう聞いたけど、女は振り返らずに走って行ってしまった。