「それくらいわかっている。いつも、私を監視しているのもな」
「監視なんて言い方!」
1人がいきり立つと、もう一人が後を引き継ぐ。
「最初から、監視……というか、貴方様の動きを覗き見ていたわけではありませんのよ?」
「覗き、なんて言ってない」
「そう思っていらっしゃるくせに」
「…………」
黙ってしまった小さな王の様子を察して、泉の精はやわらかく笑う。
「最初はためらっておられたのですよ」
え?と顔を上げれば、泉の精は優しい手つきで小さな王の髪を整える。
「貴方様が嫌がられていることは、ご存知ですもの。長いこと悩んでおいででしたけれど、不安に耐えかねて」
片割れの、心に巣くう不安。
それは、どこかしら感じていたことではあったが、見たくない事実でもあった。
「…………少しくらい、1人になったっていいだろう」
言い訳のように口にすると、泉の精は、困ったように眉を下げる。
「それはもちろん、かまいませんけれど……」



